副業元年といわれている今年は、政府による副業解禁がニュースになっています。
会社員として会社から給与をもらいながら、週末は自分の得意なことで事業を運営するという方も増えていると思います。
事業が軌道に乗れば、今勤めている会社を辞めて、事業に専念することを考えている方も多いのではないでしょうか。
そのような方が不安になる、「副業したときの税金」について解説していきます。
これを読めば副業してときの税金の不安がなくなります。
目次
副業したときの税金で注意すべきこと
副業も確定申告しないといけない?
副業してもうけがでたら税金を払わないといけないか不安になると思います。
税金は次の計算式で「所得」を計算することになります。
収入-経費=所得
「収入」とはずばり売上のことで、商品やサービスを提供して、対価として頂いたお金のことを指します。
「経費」は売上を得るために支払った費用のことで、商品の仕入れ代金や店舗の家賃、営業のために交通費などさまざまなものが含まれます。
どういうものが経費に含まれるかの考え方は次の記事を参考にしてもらえれば。
この「所得」が20万円以下であり、給与が1か所からで年末調整されいれば、所得税の確定申告は不要ということになっています。
つまりもうけが20万円以下であれば、確定申告しないで良いということになるのですが、注意すべき点が、「住民税は確定申告が必要」ということです。
住民税にはこのような20万円以下は確定申告不要という制度はありませんので、忘れずに申告しましょう。
福岡市ではこのようなサイトがあり、簡単に税額の試算から申告書のまで行うことができるので使ってみてください。
http://www.tax-asp.e-civion.net/tax-project/FukuokaMenuAction.do;jsessionid=20B9E708226A391B7218D6AC444F5A15
副業の税金ってどうやって計算するの?
所得が計算できたら、次に税金を計算しますが、シンプルに計算すると次の式になります。
所得×税率=税金
税率は所得に応じて決められており、所得が高くなればなるほど、税率が高くなります。
確定申告書は国税庁のホームページからかんたんにつくることができます。
https://www.keisan.nta.go.jp/h29/ta_top.htm#bsctrl
紙で提出する場合はプリンタで印刷して税務署に提出します。
e-taxで電子申告する場合はマイナンバーカードが必要になります。
このようなICカードリーダーの上に置いて読み込ませます。
どうやって領収書を整理すればいい?
経費をいくら使ったかということを計算するためには、領収書を1年分集めておき、集計しなければなりません。
領収書は「いつ、どこで、なにを、いくら」買ったかということが書いてある必要があります。
領収書の整理方法は、スクラップブックなどに貼ってみやすいように整理する方法もありますが、そこまでしなくても、領収書ファイルなどに月別に入れておくと良いでしょう。
副業は「事業所得」?それとも「雑所得」?
副業により運営している事業は所得税法上の「事業所得」なのか、それとも「雑所得」に該当するのかで税額が大きく変わる可能性があります。
「事業所得」は、かんたんに言うと本業の仕事としてやっている事業のことで、
- 継続して安定した収入が見込まれるか
- 利益をあげられる可能性があるか
- 事業に相当な時間を費やしているか
- 職業として認知されているものか
というような基準から判断されるものになります。
この判断は難しいものですが、一般的に本業の会社員としての収入のみで生活できる所得があり、インターネット販売などを帰宅後や週末などにしている場合は、「事業所得」と判断するのは難しいところです。
また、その他の所得として、アパートや土地を貸して得た所得は「不動産所得」であったり、株を売買して得た所得は「譲渡所得」となります。
これらの所得のどれにも該当しないものが「雑所得」ということになりますが、雑所得は青色申告の特典を受けることができません。
また、事業で赤字がでたら他の所得から引いて、所得を減らす「損益通算」が雑所得ではできません。
たとえば、事業で赤字△20がでた場合の税金がかかる所得の計算方法ですが、
事業所得の場合 | 雑所得の場合 | |
売上 | 100 | 100 |
経費 | 120 | 120 |
所得 | △20 | △20→0 |
給与など他の所得 | 300 | 300 |
合計所得(これに税金がかかる) | 280 | 300 |
上の表のように事業所得では赤字の△20の所得を給与などの他の所得300から差し引いて280が税金がかかる所得になりますが、雑所得の場合は、赤字の△20は切り捨てられ、給与などの他の所得から差し引くことはできません。
これは、高額所得者のサラリーマンがわざと赤字事業を立ち上げて税金を減らすというようなことができないような仕組みになっています。
副業で受けられる節税
副業が「事業所得」に該当するときに、まずするべき節税は「青色申告」です。
青色申告をすると青色申告特別控除という特典があり、節税することができます。
青色申告の特典については次の記事を参考にしてください。
Excelなどの集計表を作成しただけというような簡易式簿記で10万円、会計システムに仕訳を入力して行う複式簿記で記帳すると65万円控除することができます。
簿記の理解や、会計システムを購入する費用の問題もありますが、いずれにしても青色申告の申請をして特典を利用できるようにしましょう。
青色申告をすると、青色申告特別控除以外にもさまざまな特典がありますので、おすすめです。
会社を設立した方が税金が安くなる?
事業が大きくなり、安定してくると、個人事業ではなく、法人にすべきかどうかを検討するべきところになってきます。
一般的には売上が1,000万円超になるか、所得が400万円超になると法人を設立した方が税金が安くなる可能性があります。
現在の売上や経費、家族への給与があるか、従業員がいるかなどさまざまな情報を基にシミュレーションするとどちらが有利か判断することができますので、売上1,000万円超または所得が400万円超になったときは専門家に相談してみましょう。
まとめ
副業を始める方、すでに始めている方向けの記事になりました。
税金の知識も大切ですが、それ以上に副業など事業を始めて、仕事のやりがいや、人とのつながり、自分に対する自信がつくことはとても良いことだと思いますし、そういう方を応援しています。
会社員時代では触れたことがなかった手続きや作業にも触れることができます。
事業は「小さく生んで大きく育てる」というように、はじめは小規模で始めてみましょう。
あたらしい視野が広がるかもしれません。