高所得のサラリーマンの人は、不動産業者などから不動産投資の営業を受けている場合が多いです。
その場合に必ず、『不動産事業で赤字を作って給与の税金を節税しましょう』というようなことを営業文句として、真に受けて不動産投資をしている方がたまにいます。
これは要注意です。
実際に税金は減るのですが、不動産事業が赤字であればそれと同時に手取りも減っているのです。
その仕組みについて説明します。
目次
サラリーマンで赤字事業をして節税は真っ赤なウソ‼手取りが確実に減る理由を解説します!
不動産所得は給与所得と損益通算できる
サラリーマンとしての給与は給与所得になります。
一方、不動産から得る所得は不動産所得になります。
これら二つの所得は損益通算という、どちらかの所得で赤字がでたら、もう片方の所得から赤字分を引くことができます。
給与所得が赤字になることは基本的にはありませんので、不動産所得から赤字がでた場合ということになります。
例として、給与所得が1,000万円、不動産所得が△400万円で赤字だとします。
この例の場合、1,000万円ー400万円=600万円に対して所得税や住民税などの税金がかかります。
給与所得とこの損益通算ができる所得は主なものは不動産所得、事業所得などです。
雑所得などは損益通算できませんので、注意が必要です。
また、サラリーマンが副業など行う場合、基本的には雑所得に該当しますので、損益通算できません。
赤字の事業がある時点でお金はマイナスになっている
不動産所得が赤字になるとはどういうことかご説明します。
不動産所得は不動産を賃貸して、家賃収入が入ります。
経費は不動産の修繕費や管理料などですが、最も大きな経費として減価償却費があります。
減価償却費とは、資産を取得した場合に一括して経費に入れることはできず、数年に分けて経費に入れていきます。
5,000万円の資産を10年で減価償却すると、ざっくり500万円が1年間の経費になります。
この減価償却費は多額になりますので、家賃収入100万円、減価償却費が500万円あると、
100万円ー500万円=△400万円の赤字となります。
この時点で考えてみましょう。
5,000万円で買った資産から収入が年間100万円しか入ってこない。
単純に元を取るのに50年かかることになります。
給与の金額にも依りますが、節税額はせいぜい2~30万円ですので、それを考慮しても元を取るのにはやはり数十年かかります。
その間にもメンテナンス費用もかかります。
100万円の家賃収入が減る可能性もあります。
入居してもらうための広告も必要になります。
また、資産をゆくゆくは売却すれば元が取れるのではと思われるかもしれませんが、資産価値が上がることは都心部以外なく、基本的には減少する可能性が高いです。
また、地震や天災などにより買ったときのまま維持しておくことがとても大変なのが不動産事業です。
給与の節税効果がいつまで持続するか
上に書いたように赤字事業があると、給与の税金自体は減るのですが、給与の節税効果は高所得だからこそ効果があるのです。
高所得になったのが30代前半であればあと30年ほど高所得かもしれませんが、一般的には50代以降に高所得になるサラリーマンが多いのが日本です。
この場合、50代以降になっても給与所得がある期間は10数年となります。
この期間で節税効果をすべて享受することは難しいです。
不動産などに投資するのであれば、資金を貯蓄しておくべきです。
まとめ
サラリーマンの方が赤字事業で節税ということが本当なのかのからくりについてご紹介しました。
赤字の事業ということは、事業としては失敗になります。
黒字の事業であればしっかりお金が残りますので、営業マンの口車に乗せられないように注意しましょう。