創業時や事業を進めていく中で、銀行から融資を受けることがあります。
融資は１つの銀行から受けなければならないわけではありません。
同時に複数の銀行から融資を受けることができます。
これを『協調融資』(きょうちょうゆうし)と言います。
協調融資で融資を受けることは、銀行に不義理のように感じるかもしれませんが、そんなことは決してありません。
むしろ、銀行側も協調融資を望んでいることもありますので、その理由を書いていきます。
目次
『協調融資』をおススメする理由
融資の希望額を増やすことができる
まず、協調融資のメリットは、銀行から借り入れる金額を増やすことができる可能性があります。
銀行から融資を受けるときは、会社や事業主にとって景気が良い時もあれば、悪い時もあります。
景気が良く、売上が伸びているので、資金が必要になるときは銀行は進んで融資してくれます。
しかし、創業時や、景気が悪い時に融資を受ける時は、銀行はあまり進んで貸してくれません。それは貸しても返済してもらえない可能性があるからです。
そのため、融資の希望額満額の融資は難しくても一部なら貸すことができるということがあります。
その場合、協調融資であれば、たとえば1,000万円の融資希望額をA銀行から500万円、B銀行から500万円というように融資を申し込みます。
そうすると、銀行も1,000万円より500万円の方がリスクが低いため、貸しやすくなります。
銀行側のことを考えて協調融資にすると、借りる側にもメリットがあることになります。
リスクを分散できる
銀行から融資を受ける際、今まで融資を受けていない銀行から借りるのは難しいことがあります。
それは、銀行からすると、現状の融資を受けている銀行から融資を断られたのではないかと考えるからです。
融資をすべての銀行から断られた場合、会社や事業は倒産する可能性が高くなります。
そうならないために、事前に複数の銀行から借り入れしておくと、銀行も今までの融資実績を考慮してくれるため、融資に応じてくれる可能性が高まります。
また、銀行によって新規融資先を獲得したいかどうかはその時の状況によりますので、複数の銀行取引があると、融資取引がある銀行のどこかは新規融資に積極的ということがあります。
銀行が貸してくれないというリスクに備えて、事前に準備しておくべきということになります。
複数の銀行とコミュニケーションをとることができる
融資取引があるのは一つだけの銀行というより、複数の銀行から融資を受けておくと、複数の銀行の担当者とコミュニケーションをとることができます。
銀行は数字だけを見る機械的な印象を持っている方もいるかもしれませんが、実は事業者や経営者の人柄をよく見ています。
事業を軌道に乗せることができるかどうかは、経営者にかかっていますので、将来性を銀行担当者との面談で判断します。
複数の銀行から融資を受け、多方面から情報を収集しておくべきです。
将来の利率引き下げ交渉につながる
創業時や景気が良くないときは、融資を受けることが一番の目的になります。
しかし、将来的に事業が安定し、融資を受ける必要がなくなった場合や、資金繰りが安定した状態になれば、銀行へ支払う利息はコストになります。
そのような状態になった場合は、複数の銀行から融資があると、利率が高い銀行に引き下げ交渉をすることができます。
銀行も資金繰りが安定しており、きちんと返済できる会社や事業主には、融資をしておきたいものですので、別の銀行に融資が移るのを嫌います。
他の銀行の利率を引き下げ交渉の材料にすることができますので、この部分でもメリットがあることになります。
まとめ
協調融資で複数の銀行からの借入をすることのメリットを説明しました。
事業を行っていく上では景気が良いときも悪いときもあり、何があるかわかりません。
事業が厳しい状況になっても融資を受けることができれば、事業を継続することができます。
事業の継続は経営者個人だけの問題ではなく、家族、従業員さん、取引先など事業に関わる全ての人の人生に影響します。
経営者として、あらゆる状況に備えて準備しておきましょう。
