2018年5月に開業して1年が過ぎました。
私は縁もゆかりもない福岡市博多区で開業しました。
出身は熊本県熊本市で、開業前は東京の大手税理士法人で勤務しておりました。
今後の将来を考えると九州で開業しようと考えてましたが、地元の熊本より経済規模が大きい福岡で開業することにしました。
大学もその後の就職も福岡ではないので、福岡は全く縁もゆかりもない場所です。
このような人脈もない、開業資金もないという状況から開業して食べていけるのかをご紹介します。
開業するかどうかお悩みの方の参考にしていただければと思います。
それと、今回のブログ記事で書けなかった内容を有料noteで記載しておりますので、このブログ記事の下部のまとめにありますのでご参考ください。
目次
開業税理士は食べていけるのか・・・人脈なし・コネなし・金なしで開業1年目で地方開業の税理士の現状をご紹介します
5月に開業して、人脈もありませんでしたので、仕事はありませんでした。
そのため、以前熊本で働いていたときの担当顧問先に挨拶に行ったりしました。
以前の顧問先は私の以前の勤務先の税理士事務所がそのまま顧問を継続しておりましたので、特にお客様になることもありませんでしたが、ご報告ということでお話に伺ったりしていました。
5月と6月の開業2か月間は収入はなく、悶々とした日々を過ごしていました。
その間にホームページやブログの作成など今できることを少しずつやっていました。
そして、7月からはネット集客の効果が徐々にでてきて、ホームページからのお問い合わせが月間最低3件以上はあり、ご契約数が増えていきました。
2018年7月以降は毎月最低1件は新規のご契約をいただいております。
ご契約数が増加した要因としては、ネット集客以外にも考えられることは、スタートアップ支援に特化しているということが、ネットで税理士事務所を検索される方と親和性が高いということだと思います。
相続税特化の税理士法人の代表の方がネット集客があまり上手くいかないというお話をされていたときに、相続税は知り合いの税理士などに頼むが、スタートアップ企業は知り合いの税理士がいないため、必然的にネットで検索することになることから親和性が高くなり、お問い合わせが増加するという流れだと考えています。
開業後1年目の売上推移
開業して1年間の売上グラフは次の通りです。
棒グラフの具体的な金額については掲載は控えさせていただきます。
(下記のnote記事には金額を載せたグラフを載せておりますのでご興味ある方はご覧ください。)
税理士事務所を地方で開業してからの資金状況、売上推移、顧問先獲得方法、値決めについて・・・|平岡大輔|note https://t.co/hCUzCUbFcx
5月と6月の収入は0ですが、7月以降は徐々に増加しています。
新規のご契約や単発の決算申告があったり、確定申告などがあると一気に収入は増加します。
開業してからの1年目ですでに以前に東京の税理士法人での収入は超えており、開業したい方にとってもこれはプラスの材料ではないかと思います。
ただし、周りの税理士仲間に聞くと、1年目はやはり収入がほとんどなかったという方も多いため、すべての方が1年目から収入をあげることができるわけではありません。
営業方法や地域性などにより偏りが必ず生じます。
自分に合った営業方法が必ずありますので、早期に営業方法を確立させることが最も重要になります。
自分に合う方法を探すために、色んな方とお会いしてお話をお聞きしたり、セミナーに参加したり、本を読むなどインプットが必要になると思います。
また、営業方法が確立するまでは時間がかかる可能性がありますので、その期間を耐え忍ぶ資金が必要になります。
日本政策金融公庫や地場金融機関からの融資をうけることをおすすめします。
資金は生活費も考えると思ったより早く減りますし、金融機関から自分で借入を行っておくと、顧問先の融資のご提案をとても行いやすくなります。
金融機関の担当者に連絡がとりやすくなり、相談ができるためです。
スタートアップ支援は必ず資金調達の問題がでてきます。
昨今はクラウドファンディングやVC(ベンチャーキャピタル)による資金調達の可能性がでてきましたが、一般的にはそのような資金調達は現実的ではなく、現状も金融機関による融資が最も確実な資金調達方法になります。
①スタートアップ支援
②資金調達支援
③経営コンサルティング、税務調査対策、業務効率化などの付加価値業務
この3点で税理士事務所の業務としては成立します。
独立開業はリスクなのか・・・
独立開業をするということを周りの方に話すと、反対されることがたくさんあると思います。
独立しても食べていけないよ・・・
まだ独立は早いよ・・・
このような周囲の意見を聞く必要はありません。
周囲の方は、心配しているようで、大きく羽ばたくことを羨ましく思っている思いからでる言葉だったりします。
独立して思うことは、勤務のままでいることこそリスクであることです。
勤務のままであれば、顧問先は所長についています。
どんなに担当の顧問先に貢献して、感謝されても、自分のお客さんではありません。
勤務のままだと、新しく顧問先の開拓をする機会もないと思います。
独立することで営業する力も養うことができ、自分の力で仕事を作ることができます。
それに勤務状態はいつクビになるかもわかりません。
また、若くして独立すると早すぎると反対する方もいますが、若いからこそ需要があります。
若い方だから頼みたいという顧問先もたくさんあり、早く独立すればするほど有利になります。
『40歳で独立して1年目』と、『30歳で独立して40歳で独立10年目』には雲泥の差があります。
これは税理士に限らず言えることだと思います。
経験を積んで、『独立して成功できる経験値』が完璧に積めたという状態は一生きません。
なぜなら、『独立して成功できる経験値』は、勤務状態で積めることはなく、独立して自分でやってみなければわからないことばかりだからです。
幸いなことに、税理士での独立はとても恵まれており、申告や決算が必要な個人事業主の方や会社は、税理士が必ず必要になります。
資格がないと業務ができない税理士は参入障壁が高く、競争相手もそんなにいません。
場所や年齢、得意としていることなどお客さんは求めている税理士像が全く違いますので、同じ税理士事務所でも、本当に競争相手となる事務所は本当に少ないと思います。
起業支援や銀行融資、大企業税務、海外税務、組織再編、相続税など得意なことを独立後の業務に活かしましょう。
ただ一つ大事なことは、周囲の反対という部分は、家族の反対だけはきちんと説得しなければなりません。
家族の協力なくして独立はできませんし、成功はしません。
AIによる業務縮小について
税理士や会計士などの業務はAIによる発達により縮小し、仕事が奪われるといわれています。
実際、AIの発達により業務が効率化している側面もあります。
税理士業界では、AIに脅かされると考える方もいれば、AIが発達しても仕事は減らないと考える方もおり、どちらの意見も妥当な部分とそうではない部分があります。
会計ベンダーは危機感を持ってほしいということで前者の考え方であったり、既存の税理士は実際に顧問先の相談を受けていると自然と後者の考え方になる傾向にあります。
税理士受験生は毎年約2,000人ずつ減少しており、資格受験生の減少はこのようなAIでの将来性がないと判断されているかなと思います。
実際に税理士業務をやってみて感じることは、税理士を必要としている方はたくさんいます。
これは、経理がわからないから税理士が必要という方ばかりではなく、やはり人に相談したいという方がまだまだたくさんいます。
売上を増やすにはどうしたら良いか、雇用をするには、資金を上手く回すにはどうしたらいいか、というような経営に関わる悩みが経営者には必ずあります。
経営者の方にとってこのような悩みを聞けるのは税理士しかいませんので、この相談を聞き、一緒に考えることができるというだけで仕事としては成立しています。
現在はAIの発達に期待が寄せられていますが、それほど発達しない可能性もありますので、将来どこまで記帳代行などの業務がなくなるかはわかりません。
会計や税金・融資などの税理士が行える相談業務や、決算書が正しいということを税理士が証明する保証業務は必ず残ると思いますので、税理士を目指す方が増えることを願っています。
まとめ
この記事をご覧の方は、開業しようか、勤務のままでいようか悩んでいる方だと思います。
今回書けなかった内容をnoteに有料でご提供します。
突っ込んだ内容を具体的に載せていますので、参考にしていただければと思います。
独立に迷っている方は、売上金額や経費金額、顧問先獲得、顧問料値決めについてなど詳しくは下のnoteに書いていますので、安心材料になると思います。
独立をお考えの方にすでに50人ほどご覧いただいております。
税理士で独立開業を目指している方は是非読むべき
ここまでオープンにして数字を示していただけると、イメージが掴めます!
税理士事務所を地方で開業してからの資金状況、売上推移、顧問先獲得方法、値決めについて・・・|平岡大輔|note https://t.co/hCUzCUbFcx
— ST 税理士受験生(2024年1月開業予定) (@StartUpDoIt) May 18, 2020
合格したら開業しようと思ってるので参考になった。ここまで数字をさらけ出してる方はいらっしゃらないのでは…。
税理士事務所を地方で開業してからの資金状況、売上推移、顧問先獲得方法、値決めについて・・・|平岡大輔 #note https://t.co/nYIdW2OlxO— 栞 (@shiorixk) May 18, 2020
税理士事務所を地方で開業してからの資金状況、売上推移、顧問先獲得方法、値決めについて・・・|平岡大輔 #note https://t.co/6LB6OTMqp2
非常に参考になりました。
ありがとうございます😊— kensuke@法学修士(博士課程前期修了) (@lklkfafa1) May 18, 2020
開業するかしないかは、個人の選択の自由で、どちらも間違いではありません。
ただ、その選択をできる資格ということで税理士はとても良い資格だと思います。
経営者と一緒に考え、悩むことができる税理士を目指しましょう。
独立前のご相談などがあれば、お問い合わせからメールいただければ、時間がある限り回答いたします。