経理の方法として、二つの方法があります。
・『自計化』といわれる自社で経理を行う方法
・『記帳代行』といわれる税理士事務所などに領収書を渡して経理してもらう方法
この二つのどちらの方が良いのか悩まれている方も多いと思います。
新規で当事務所にお問合せいただき、ご面談させていただく方についても、自計化をすべきか、記帳代行にすべきかお悩みを多くお聞きします。
この二つのどちらが良いかについては、ずばり『自計化』の方が良いということをお伝えしておきます。
その最大の理由は、自計化の方が『税理士事務所側のサービスを最大限に受けることができる』ということにあります。
目次
自計化or記帳代行 どちらがいいのか・・・自計化すべき最大の理由をご説明します
記帳代行で受けられるサービス
まず税理士事務所のサービスは事務所によって千差万別ですが、下記のサービスを行っている事務所が多いです。
①経理指導
②損益報告
③節税策提案
④税務調査対策
⑤経営コンサルティング・MAS業務
⑥保険指導
①の経理指導は、記帳代行のお客様は、そもそも経理を税理士事務所側にお願いしているため行いません。
そして記帳代行しているお客様に税理士事務所側が行うサービスは②損益報告がメインとなります。損益の把握は記帳代行のお客様は、税理士事務所が行わないと把握できない方ということになりますので、まずは今月の損益や今年の損益の把握をしてもらうことが最優先です。
③節税策提案については、記帳代行のスパンを毎月行うのか、半年ごとや1年分まとめてなのかにもよりますが、記帳代行の場合は、『適切な時期』に節税策を行うことが難しいことがあります。損益がわかったのが遅れてしまうと節税した方が良いのか、すべきではないのかがわかりません。また、節税策によっては、事前の書類提出が必要なものもありますので、提出していなかったため、節税対策できないということも考えられます。
④~⑥については、記帳代行のお客様にはサービスを提供していない税理士事務所は多いと思います。そのサービスをすべて提供していない又はしない理由として、厳しい言い方をすると、会社や個人事業主の方の『レベル』が一定水準に達していないということです。
税理士事務所側の評価としては、記帳代行のお客様は、経理ができていなため、損益把握を行うことが最優先である方、つまりレベルが高くない方という評価・印象になります。
自計化で受けられるサービス
記帳代行に対して、自計化のお客様は自社で経理ができているため、数値の把握は自社でできているようなレベルが高い方という評価・印象になります。
自計化の最大のメリットしてご説明している『税理士事務所側のサービスを最大限に受けることができる』ということは、上記①~⑥のサービスを受けることができます。
これは、税理士事務所は、自計化できている会社や個人事業主の方については、経理を超えたプラスαの付加価値を与えなければならないと考えるからです。
この付加価値業務の中に税理士事務所と顧問契約をするべきメリットがあります。
経営は経営者や起業家の方が一人で行うことが多く、相談相手があまりいません。
知り合いの経営者に相談することもできますが、同業種の場合も多く、内容をすべてさらけだして相談することはできないと思います。
その点、税理士事務所は、事業に関わる内容を網羅的に把握する必要がありますので、『事業の状況に一番詳しい第三者』となります。
これは同時に税理士事務所を経営のパートナーと考えることができます。
税理士事務所との契約をどの事務所にしようかとお悩みの方は、経営のパートナーとして考えることができる事務所かどうかということを重要視すべきです。
税理士事務所の変更を検討している方で、現在の税理士事務所が何もやってくれないというお話をお聞きすることが多いのですが、これも記帳代行か自計化かという点も大きく関係しています。
自社の経理レベルを上げ、付加価値サービスを受けることができるように体制を整えましょう。
まとめ
自計化と記帳代行の比較と税理士事務所の考え方をご説明しました。
自社の経理を行うことは、会社や個人事業主の権利であり、唯一税務署に対して正当性を主張できる場になります。
自計化が時間と手間がかかると思われる方も多いですが、現在は工夫次第で経理の効率化や省力化を行うことができます。
自社で損益の把握を行うと、経営の改善もしやすくなりますので、少し時間がかかっても自計化をおすすめします。