当事務所では、顧問先の企業や個人事業主の方と顧問契約を締結する際は、クラウドサインというウェブ上の契約書締結システムを利用しています。
https://www.cloudsign.jp/dashboard
従来は、紙ベースで契約書にお互いに収入印紙を貼り、署名し、押印していたと思いますが、これらがすべてなくなり、ネット上で契約書が締結でき、とても便利です。
このクラウドサインをおすすめする理由をあげてみました。
目次
契約書の締結はクラウドサインをおすすめする理由
利用料金が低価格で導入しやすい
2019年6月執筆時点ですが、法人は月額利用料が1万円+新規契約書1通当たり200円ですが、個人事業主に関しては月額利用料無料で、新規契約書も月5通まで無料になっています。
新規の契約書が月間5通以上ある業種では利用料が発生しますが、通常ほとんどの業種で新規5件はあまりないかと思いますので、無料の範囲に収まるかと思います。
開業したばかりの企業や個人事業主の方にとっては導入しやすく使えるのではと思います。
契約書の管理をネット上で行うことができる
契約書の管理は場所もとりますし、ヒトが関わることが必要になります。
クラウドサインを利用した場合は、契約書のファイルを紙でファイリングしておく必要もありませんし、必要な場合は、検索して見たい契約書を探すことも可能です。
時間や管理のコスト削減という意味でも利用価値はあると思います。
収入印紙の貼り付けが必要ない
契約書の締結の際は、本来収入印紙の貼り付けが必要になります。
契約書数が増加するとそのコストもバカになりません。
収入印紙の添付が必要な契約書とは、『課税文書』にあたるかどうかということになります。
この『課税文書』の要件として、国税庁のホームページには、
『印紙税が課税されるのは、印紙税法で定められた課税文書に限られています。この課税文書とは、次の三つのすべてに当てはまる文書をいいます。
- (1) 印紙税法別表第一(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証明されるべき事項(課税事項)が記載されていること。
- (2) 当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること。
- (3) 印紙税法第5条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと。』
とあります。
つまり、①課税文書にあたる文書を、②作成した場合、印紙税が課税されることになります。
①課税文書にあたるかどうかは、20種類の課税物件表に該当するかどうかで判断することができます。
②作成したということがどういうことかについては、印紙税法基本通達第44条に下記のように記載があります。
『第44条 法に規定する課税文書の「作成」とは、単なる課税文書の調製行為をいうのでなく、課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、これを当該文書の目的に従って行使することをいう。
2 課税文書の「作成の時」とは、次の区分に応じ、それぞれ次に掲げるところによる。(平13課消3-12、平18課消3-36改正)
(1) 相手方に交付する目的で作成される課税文書 当該交付の時
(2) 契約当事者の意思の合致を証明する目的で作成される課税文書 当該証明の時
(3) 一定事項の付け込み証明をすることを目的として作成される課税文書 当該最初の付け込みの時
(4) 認証を受けることにより効力が生ずることとなる課税文書 当該認証の時
(5) 第5号文書のうち新設分割計画書 本店に備え置く時』
つまり、作成とは用紙等に記載するということですが、クラウドサインを使用すると、ウェブ上での住所や氏名の入力になりますので、作成にはあたらないことになります。
これを貼り忘れていた場合、正規の印紙税額の3倍の過怠税が徴収されることになりますので、注意が必要です。
今後の改正などで、ウェブ上で締結した契約書に関しても収入印紙の張り付けが必要になる可能性はありますので、ご注意ください。
※2019年6月6日執筆時点の見解になりますので、現行法令の規定に従ってください。